法務局での遺言の保管 その1

多忙のためブログを更新できませんでしたが、今日から再開したいと思います。

 

7月10日から法務局での遺言の保管制度が始まりました。

ワイドショーなどでは相変わらず不完全な情報が流れています。「たった3900円で法務局が内容をチェックしてくれたうえで、遺言を預かってくれる」ということで、安くてお手軽で内容も確実、というふうに伝えています。

ワイドショーは基本的に「お得な情報を提供する」ことに使命があるのでしょうが、どうしてもそこだけが強調されてしまう傾向があります。

「手ぶらで法務局に行ったら、3900円で法務局の職員が懇切丁寧に相談に乗ってくれて、相談者の事情をあれこれ聞いて相談者にとってベストな遺言を作ってくれて、なおかつ法務局が保管までしてくれる」と、ふつう思いますよね。

「3900円」と「法務局が保管」は合ってますが、それ以外は正確ではありません。

遺言は自分が考えて作成して、法務局は様式に不備が無いかなどの形式的なチェックにとどまります。

 

私が実際に見た遺言で「裏の土地は弟に譲る」とありました。

これでは「裏の土地を弟の名義にする」ことはできません。

「裏の土地」では地番の特定がされていないので、どの土地かわかりません。また、弟が一人であればギリギリセーフかもしれませんが二人以上あれば誰に相続させるのかわかりません。

また、その遺言を見た時点で弟は亡くなっていたのでその子供には譲ることはできません。

 

なので、正解は

遺言者は、宇部市〇〇町〇〇番地の土地を弟である山田太郎に遺贈する。

なお、遺言者が死亡した時点で山田太郎が死亡していた場合には、その長男である山田次郎に遺贈する。

遺言執行者は山田太郎とする。なお、山田太郎が死亡していた場合には、山田次郎を遺言執行者とする。

という程度に物と人を特定しなければ有効となりませんし、遺言執行者を定めていないと名義変更の際に他の相続人の協力が必要な場合があります。

 

「裏の土地は弟に譲る」という遺言書を法務局に持参した時に、「これでは名義変更できるかどうか難しいですよ」くらいは言ってくれるかもしれませんが、上記のように書き直しなさないとまでは言ってくれません。

まだ始まったばかりの制度ですので、法務局職員もどの程度まで内容に関与できるのか詳細は決まっていませんが、遺言はあくまでも遺言者の意思を残すものですので、内容についてあまり立ち入ることはできないと思います。

 

これを機会に、改めて遺言とはどういうものかについて、何回かに分けてお伝えしようと思います。

妻へ自宅を残したい。遺言か生前贈与か?

1か月ぶりの投稿です。

妻、子供2人が相続人になる場合に、子供との折り合いが悪く、相続開始後にトラブルになりそうな時

自宅だけでも妻に残したい場合は遺言を残せばいいのか、生前に贈与した方が良いのかという相談がありました。

この案件は今年の民法改正が関係する事案で、慎重に検討する必要があります。

生前贈与は原則として相続財産に算入されます。

民法改正前であれば、相続開始前に妻に自宅を贈与していても相続人全員の相続財産として分配しなければなりませんでした。

しかし、民法改正により、配偶者への自宅の贈与は相続財産に算入しないこととされました。

なので、生前に贈与しておけば安心です。あとは、税金の問題だけです。

遺言で妻に自宅を相続させることにした場合、子供から遺留分を請求されると、遺留分相当額を金銭で渡さなければなりません。

自宅以外に預貯金があればこの方法でできますが、預貯金があまり無い場合には十分な対策とはいえません。

ケースバイケースで、遺言か贈与かを慎重に検討しなければなりません。

民法改正により、従前の取り扱いと異なっていますので、改正法を正しく理解している専門家に相談する必要があります。

 

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台風接近中。黒猫動じず。

最強の台風が接近しているようですが、黒猫は「それがどうした」とでも言いたげな、おっさん座りで睨んでます。

 

 

 

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